アイデアと心意気の経営者、二十代から活動する西裏で アイデアと心意気の経営者、二十代から活動する西裏で

アイデアと心意気の経営者、

二十代から活動する西裏で

飛来夢

居酒屋

「腹いっぱい食べさせたい!って性分なんです」
料理上手な姉御肌、
居酒屋「飛来夢」の店主が持つ魅力

中央通りと西裏通りの交差点に店を構える居酒屋「飛来夢(とらい)」。お店を営む小林 佐季子さんは、これまで多くの飲食店を経営してきた“やり手”で、美味しくてボリューム満点の料理で多くのファンに愛されています。

西裏の飲兵衛たちは、なぜこのお店に魅了されるのか、今回は実際に「飛来夢」の暖簾をくぐり、その理由を探ってきました。

小林 佐季子

小林 佐季子

飛来夢 | 居酒屋

富士吉田市を愛し、西裏に根を張った女性店主

さきこさんはもともと別の場所で飲食店を開かれていたとお聞きしたのですが、飛来夢をオープンするまではどんなお店を経営されていたのですか?

私はもともと大月の出身で、ずっと「どこかで商売したいな」っていう思いがあったんです。それが富士吉田市という街でチャンスをいただいて、26歳で最初のお店を開くことができました。この街の人はみんな温かくて、私のようなヨソ者でもちゃんと受け入れてくれました。

おかげさまでお店も繁盛したんですが、私わがままで、一度お店を畳んで甲府のほうに行きました。(修行のつもりで笑)そして、30過ぎでふたたび富士吉田市に戻ってきて、西裏で何店舗かお店を出したんです。そして10年くらい前にここの土地を買って「飛来夢」を始めました。

富士吉田市に戻ってきたのは、やっぱりこの土地に愛着が持てたということなのでしょうか?

そうですね。26歳のときにお店にきてくれていたお客さんがいまだに応援してくれていて、このあたりの皆さんにも若い頃からかわいがってもらっているので、絶対に西裏と決めていました。お客さんとは友だち感覚でざっくばらんに接することができますし、すごく居心地がいいですね。

トラブルもまったくないし、もしトラブルが起きそうになったら、すぐに叩き出しますよ(笑)。それは冗談だけど、本当に人柄がいい人たちに囲まれています。そんな皆さんに囲まれながらお店を営業できるなんて、すごい贅沢だなって思っています。

今も「飛来夢」以外に何軒かお店を営業されているのですか?

この建物の1階が居酒屋の「飛来夢」、2階がラウンジの「Ruxury(ラグジュアリー)」になっています。ランチタイムは1階を「Y’(ワイダッシュ)」っていう名前に変えてお弁当販売をしています。26歳で初めてオープンさせた店が「TRY AGAIN」っていうお店だったので、「TRY」から1文字ずつ取ってそれぞれ命名しています。ラグジュアリーのスペルは本来“L”から始まりますが、「TRY」に合わせて“R”に変えました。

「お腹いっぱい食べてもらいたい」。ボリューム溢れる人気メニューの数々

過去のお店も含め、何店舗も飲食店を営業されてきたんですね。「飛来夢」ではどんな食事が楽しめるのでしょう?

やっぱりメニューは豊富なほうがいいのかなって思って、居酒屋で人気のありそうなものを中心に出しています。どれも手前味噌だし、どこかで修行したこともないんですけどね。でも、もともと料理するのは好きだったし、やっぱりお客さんに「どれを食べても美味い!」って言ってもらえると嬉しいですね。

特に人気のメニューは何ですか?

お好み焼きはうちの隠れたウリです。昔、地域のイベントに出店したときにお好み焼きを出したんですけど、お客さんに「これは美味い!絶対にお店でも出したほうがいいよ」って言われたので、メニュー化してみました。
かなりボリュームがあるので驚かれますし、「これを食べたら他の料理が食べられなくなる」って言われます(笑)。どのメニューも量は多めですね。性分なんですよ。常々「お腹いっぱい食べてもらいたい!」って思っているので。

客としては嬉しい心意気ですね。他にはどんなメニューがよく出ますか?

天ぷらも人気ですね。昔は天ぷらを作るのは苦手だったんです。でも、私がお世話になったお客さんが「天ぷらを食べたい!」って言い出したので、「しょうがない、作るしかないな!……」って(笑)。

それで、実際に作ってみたらすごく褒めてもらえたんですよ。うちの天ぷらは「くし天」って言って、串に刺さった天ぷらをタレにどぼんっと浸けて食べるスタイルで、もちろん二度漬けは禁止です(笑)

くし天というのは斬新です。いわゆる串カツの天ぷらバージョンですね。

まさにそんな感じです。もともと私自身、「もっと天ぷらを汁だくで食べたいな〜」っていう欲があったので、「じゃあ串に付けて揚げて、タレに浸けちゃえばいいじゃん!」って考えたのがキッカケだったんですよ。

今までありそうでなかった料理ですよね。お酒を飲みながらでも食べやすそうですし。ちなみに、山梨名物みたいな料理はあるんですか?

まだメニュー表には載せていないのですが、もうすぐ鳥もつ煮も出す予定です。これも「作ってみなよ」って言われたのが始まりなんですけどね。鳥もつ煮って山梨名物のB級グルメとして有名なのに、西裏で出している店はないんですよ。甲府のほうではよく出ているんですけどね。
だったらちょっとうちでやってみようということで作ってみたら、超美味くできちゃって(笑)。お客さんにも食べてもらったけど、やっぱり「美味い!」って言ってもらえたので、レギュラーメニューにすることにしました。

甲府鳥もつ煮って山梨のご当地グルメとして有名ですよね! 西裏で食べられるようになるのはありがたいことです。「飛来夢」はドリンクメニューもすごく多いですね。

飲み物の種類も多いほうがいいかなと思って、サワーやカクテルなんかもひと通り置いたんです。でも、みんな飲まないのでもっとメニューをスリム化しようと思っているんですよ。このへんの人たちは本当に飲兵衛で、女性でも普通に焼酎をボトルで注文して飲んでいますから(笑)。

芋焼酎なら「赤霧島」や「黒霧島」、「三岳」、麦焼酎なら「河童九千坊」や「二階堂」、日本酒は「景虎」が飲みやすくて一番人気ですね。ボトルはキープもできるので、ぜひ通ってくださいね。

可愛らしい笑顔とは裏腹に、男気に溢れ、姉御肌な一面も併せ持った、さきこさん。いろいろとお話をうかがう中で、お客さん想いな人柄と西裏への深い愛も伝わってきました。

まもなく店内を改装し、カウンター席も増やすそうなので、ぜひさきこさんのお話を聞きに立ち寄ってみてください。