唐揚げ、卵焼き、イカバター……お母さんの味をそのままお店のメニューに
心響はいつ頃オープンしたお店なのでしょう? お店を開いたキッカケなどもお聞かせいただけますか?
今年で開店から丸6年になります。それまでずっと会社員として働いていたのですが、子育てが落ち着いて、自分の時間が作れるようになったところで、ふと「このうちでお店をやってみよう」って思い立ったんです。ここはもともと駄菓子屋だったのですが、居酒屋をはじめるにあたって「できることは自分でやってみよう」という想いがあったので、内装に関しても、ホームセンターに通いながらできるかぎり自分でリフォームしました。この椅子なんかも自作です。
メニューについては、自分が母として子供たちに作ってきた料理を出しているのですが、その他に、焼き鳥などお客さんからリクエストをもらって随時メニューを増やしています。
なるほど、内装はDIYでメニューは家庭料理、なんだか親近感が湧いてきました。人気メニューはどのあたりでしょうか?
イカバター焼きとか、あればサンマやホッケ、あとは……女性には卵焼きが人気ですね。唐揚げも特別な作り方はしていませんが「懐かしい、美味しい」って言ってもらえます。焼き鳥や串焼きだと、ねぎまやトマト巻、オクラ巻、ニンニク巻なんかがよく出ていますよ。
あと、チョリソーはちょっとそこらにはないほど辛いので、よかったら試してみてください。以前、常連さんに「辛さが足りない。これはチョリソーじゃないよ」って言われてから、意地になって辛いチョリソーを探し出したんです(笑)。
あと、チョリソーはちょっとそこらにはないほど辛いので、よかったら試してみてください。以前、常連さんに「辛さが足りない。これはチョリソーじゃないよ」って言われてから、意地になって辛いチョリソーを探し出したんです(笑)。
常連客と一緒に育てるお店。「心響」が大切にしたいこと
なんだかお客さんたちと一緒にメニュー開発しているみたいですね。そんな常連さんたちはどうやって集まってきたのでしょう?
最初は顔見知りの人が常連になってくれて、その後は人伝いに常連客が増えていった感じですかね。今では毎日いらっしゃるお客さんや、2日置きにいらっしゃるお客さん、毎週土曜日に必ずきてくれるお客さんなど、さまざまな方がきてくれるようになりました。
常連さんが集まる心響はどんな雰囲気ですか?一見さんでも入れるのでしょうか?
やっぱり家族的な雰囲気で、みんなに「憩いの場」って言ってもらえています。一見さんが入ってきても常連さんが積極的に声をかけてくれますし、あるお客さんはよほどそれが楽しかったのか、2度目に来たときに「この間の常連さん、今日もいますか?」って声をかけてくれたこともありました。地域の人との交流などが好きな旅行客の方はきっと楽しんでもらえると思います。
地域の人と旅行客が一緒に楽しめるお店ってすごいですね。
地元の人も、旅行できた人も、みんながここで居心地良く飲んでもらいたいです。良い話も悪い話もみんなで共有して、それぞれの心に響く、そんなお店をつくりたくて「心響」という名前を付けたんです。さらには、女性が一人で飲みにきて、カウンターで私やお客さんと気軽にお話しして帰っていくようなそんなお店になっていくといいなと思っています。
以前、お店にひとりで店にきてくれたインバウンドの女の子がいたんですけど、常連さんとに混ざって楽しく飲んでくれて、閉店後には、私と常連さん、それからその女の子と3人でカラオケに行ったんですよ。その女の子からは帰国後、クリスマスカードが送られてきました。「コロナ禍で大変だけど、また心響に行きたいと思っています。メリークリスマス!」って書かれていて、ビックリしたけど嬉しかったですね。
多くの常連客に愛される居酒屋「心響」。その人気の理由は、長田さんの作る家庭料理と、人情味にあふれた人柄にあったようです。ふと人恋しくなったときは、ぜひその暖簾をくぐってみてはいかがでしょうか。きっと、長田さんや常連さんが家族のように温かく迎えてくれるはずです。